ここのところ、各種給付金の申請に加えて、通常の建設業許可業務も立て込み、そこそこ忙しい日々を送っております。
国の持続化給付金は申請からほぼ2週間(早いところは1週間程度で)入金されていますが、千葉県の再建支援金は一部の新聞記事で書かれていたように二重払いのミスがあったらしくて、先週まで給付作業をストップしていたため、5月に申請したお客様についてもまだ入金されていないところがほとんどです。
また、市区町村ごとの独自の給付金は申請から割と速いペースで入金されているようです。特に八千代市や船橋市は早いですね。
さて、近況報告はこの辺にしておいて、昨日、行政書士と建設業者向けに国交省の役人を講師に迎えた建設業の経営環境や許可周りの改正についてのオンラインセミナーがありましたので、内容をまとめたいと思います。
一気にご紹介するにはボリュームが多いので、前半を「災害と景況を踏まえた経営環境と業況の変化」、後半を「建設業法と経営事項審査事項の改正について」として分けてご紹介します。
【災害と景況を踏まえた経営環境と業況の変化】
※番号の隣に記載した文章が昨日のオンラインセミナーにおける国交省の説明事項であり、「・・・」以下は、私個人による補足説明です。①新型コロナウィルスによってストップした工事案件は、ピーク時でも全体の4%に過ぎず、現在は0.1%程度にとどまっている。
・・・ただし、これは全国の工事案件数に比べての4%であり、首都圏でとか、緊急事態宣言で指定された地域でとかという話ではないようです。②国交省としては、社会機能の低下を防ぐために、できるだけ事業(工事)の継続を求めている。また、工事の一時中止をする場合には元請業者に対して、下請負人の事業や生業継続の配慮を求め、元下間の取引の適正化の徹底に努めるよう通知している。
③近年は自然災害が多く、地域建設業による災害対応が求められている。特に大雨や台風による河川の氾濫についての対応が求められており、災害時の協力協定が求められるほか、災害によって工事が一時中止をせざるを得ない場合でも必要な取り扱いをするように国交省ではあらかじめ方針を定めている。
④自然災害が起きてもできるだけ被災を抑えるため、宅建業者とも情報共有をして、災害ハザードエリアにおける新たな開発を抑制したり、災害リスクの見える化に取り組んでいる。
⑤インフラの老朽化が著しく、これらのメンテナンスに取り組まねばならない。特に、橋梁やトンネル、水道整備などにおいて需要が生じている。そのためには、必要な予算を組み、保守・施工業者が持続可能となるメンテナンスサイクルの実現に取り組まねばならない。(業者が赤字になっては持続しない。)
⑥建設投資(市場)のピークは1992年の84兆円であり、バブル崩壊とともに徐々に縮小し、2000年を機に建設業者数と建設投資のバランスが崩れ始めた。リーマンショックが起きた2008年以降は建設市場は43兆円と、ピーク時の半減にまで落ち込んだ。2019年現在は56兆円にま復活したが、ピーク時の3割減の規模である。
建設市場が縮小しても、それに合わせて建設業者が減少するのではなく、徐々に淘汰されて減少しているので、その間に建設業者で働く人たちの所得が減ったり伸び悩んだりして、若年層の教育にも力を入れてこれなかった。
⑦建設業就業者の高齢化の進行が著しい。就労者の約3割が55歳以上であり、29歳以下は1割しかいない。
⑧建設業の抱える課題は、担い手の確保であり、「処遇改善(給料の引き上げと社会保険加入)」「働き方改革(週休2日制の推進と長時間労働の是正)」「生産性向上(生産人口減少に対応した作業効率化)」が必要である。
そのためには、安定した事業量(建設市場)と適正な契約価額、ダンピングの防止、人と下請を大切にする請け負けない市場構造が必要である。
⑨国は安定した事業量を作り出すため、いわゆる公共工事を発注することができるが、その財源は主に国債である。しかし、地方は地方債の発行に限界があり、地方の事業量創出は難しい。
・・・このコロナ対策で、日銀は国債買い入れ額の天井をはずし、第二次補正予算31兆円も全額を国債で賄うことを決めました。先日の日経新聞(ソース記事はこちら)によると、直近の日銀の収益(国債買い入れ時の利息収入)は最高益だそうです。そうなると、国債の返済に伴う国債費(国の支払利息)が嵩むことを心配する声が聞こえてきますが、実は、日銀はその利益を積み立てた利益剰余金から、国に年1.2兆円も上納しているのです。つまり、国は利息負担を心配することなく、お金を刷れるということです。しかし、地方債は日銀のように都合よく受けてくれる金融機関がなく、総務省からストップがかかればそれ以上の地方債の発行ができません。
そういう事情があるのですね。。。
では、今日はここまでで。
また次回の記事で建設業法の改正などについてお伝えします。