昨日のブログにちょこっと書きましたが、
「それ、どうなのかな?」と調べてみなければならない建設業許可申請のお仕事が入ってきました。
<登場人物>
A社・・・建設業許可を保有。代表取締役はBさん。もうすぐ更新申請期限。
建設業許可における経営管理責任者と専任技術者はBさん。
建設業許可において常勤を求められるのは、経営管理責任者と専任技術者
C社・・・宅建業免許を保有。代表取締役はD社長。
宅建業免許における専任の取引士はD社長とは別の社員が務める。
宅建業免許において常勤を求められるのは、
代表取締役(代表取締役が他社の代表を務める場合は政令使用人を置く必要あり)と専任の取引士。
※常勤・・・その会社または営業所に専任していること。他の代表取締役、他の許認可の専任を要する資格者を兼ねていないことが求められる。
<経緯>
A社の代表取締役も経営管理責任者も専任技術者もBさんでした。
Bさんはリタイヤも考えて、保有株式をC社のD社長へ売却しました。
C社のD社長は、Bさんを代表取締役から平取締役へ変更して、
D社長自身がA社の代表取締役になれればと思っていましたが、
ここでD社長がA社の代表取締役社長になれるかどうかという確認が必要になります。
A社は、建設業許可において常勤性を求められる経営管理責任者と専任技術者として、また、平取締役として、Bさんが引き続き在籍するので、建設業許可要件に問題はありません。
しかし、代表取締役が常勤でない(二つの会社の代表取締役を兼任する)状況で、本当に問題はないのでしょうか?
宅建業的にはこのままではNGなんです。
C社から見た場合、別に専任の取引士がいるので取引士については問題ないのですが、D社長は常勤ではなくなるので、C社内には政令使用人(取締役ではないが契約締結の押印ができる立場の人)を置く必要があります。
そこで、確認が必要となるのはA社の建設業許可のみです。
東京都の建設業許可担当者に聞いてみました。
私「A社には、常勤性が必要な経営管理責任者と専任技術者のBさんが常勤の平取締役として在籍しているんですが、
代表取締役のD社長が常勤ではない場合、何か問題はありますか?」
担当者「あー、代表取締役が常勤ではないんですね。では、共同代表(※)を置いてください。」
※代表取締役を2名選定して、そのどちらもが代表権を持ったり、
どちらもが揃わないと代表権を発揮できなくすること。
私「そうなんですかー。それって、通達とか何かありますか?
手引きには書いてませんよね?こちらもお客様に説明しなくてはいけませんので。」
担当者「あー、すみません、通達とかはないですね。会社法の絡みだと思うんですけど。。。」
私「会社法ですか?会社法349条に代表取締役について定めた条文がありますけど、常勤じゃないから共同代表を置かねばならないとは書かれてないんですが・・・。」
担当者「すみません、調べてから折り返します。」
・・・・ということで、後ほどかかってきた電話で
さっきとは別の担当者
「すみません、法律も通達も何も規定はないので、代表取締役が常勤でないことをもって、許可できないという理由にはなりません。
よって、許可の変更も更新もできます。
しかし、東京都としては、できるだけ共同代表を置くとか、何かして欲しいというスタンスではあります。」
・・・・・ということで、建設業許可的にはやはり、常勤を求められるのは経営管理責任者と専任技術者のみであり、
代表取締役は常勤でなくてもいいということが明確になりました。
担当者の話を安易に丸呑みして、もう一人の取締役に代表権を与えてしまったら、
会社の運営が真っ二つに割れてしまうリスクも抱えることになります。
許認可申請という仕事は、どの行政書士に頼んでも結果は同じと思われがちですが、
根拠をきちんと押さえて仕事をするかどうかという点では、違いが出てくるように思います。

にほんブログ村