テレビでCMが流れている契約書審査AIソフトウエア「LegalForce」。
当事務所にトライアル導入しました。
所属弁護士30名の法律事務所が作っているデータベースにAIが組み合わさって、契約書を自動チェックしてくれます。
当事務所に持ち込まれるチェック依頼の契約書は、その質がピンキリ(中には「これ、契約書?」というものも。)で、果たしてここまで必要なのかとも思うこともありますが、それを正していくのも私の仕事なので。
2月8日から使っていて、現在、お客様へのサービスリリースを組み立てています。
そこで、数日使ってみて、使った感想をまとめたいと思います。
<良い点>
①OCR機能
FAXで受け取った少々不鮮明な文書も、スキャンして取り込めば、OCR機能で一気にテキスト化して、契約書チェックができます。
お客様から預かる資料がWordやPDFだけではないので、これは便利。
ただし、何度もコピーを重ねてたりとか不鮮明さが大きいとさすがに誤変換もあるので、人の目によるチェックは必要。
②本当に一瞬にして法務チェックが可能。
契約書をフォームに取り込んで、「レビュー」ボタンを押すと、本当に一瞬にして法務チェックが可能です。
また、今チェックしている契約書はどの立場なのか(例えば、売主(発注者)か買主(受注者)か)という立場によって、どっちに有利な契約書になっているのかもチェックしてくれます。
また、そのチェックをした契約書を、チェック部分(修正提案や抜け落ち条文など)も含めてWord文書に落とすことができ、チェック部分はコメント機能として保存することができます。
③改正法に対応
民法や商法はもちろん、建設業法もカバーしており、かなり細かいチェックが可能です。
修正提案や抜け落ち条文の種類ごと、重要度レベルも明示してくれるので、一目でわかります。
④600以上のひな型を顧問先企業に配布することもOK
契約書ひな形だけでなく、定款や議事録や社内規定まで揃えられているので、顧問先企業から「こんな規定を作りたい」という声にも応えられます。
契約書は上記②の通り、どっち側有利かというパターンまで用意されています。
ひな型は定期的に増やされるそうで、様々な分野で使えるようになるそうです。
⑤比較機能
比較機能があり、これがとても便利です。
例えば、修正前と修正後の契約書の相違部分をハイライトにして、その対称一覧表をExcelファイルに落とすこともできます。契約書案とひな型との比較なども可能です。
<うーんな点>
①やはりセカンドオピニオンとして。
LegalForceを導入してたった1日で、タイムリーにも契約書チェックのお仕事が持ち込まれました。
(え?まだ導入を告知してなかったのになぜ?呼んだ?)
その契約書を早速通してみたところ、確かにかなり細かくチェックしてくれるのですが、逆に手作り感満載な契約書だとAIが覚知できないのか、スルーされる部分がありました。
私が「ここはリスク高いでしょう」と感じた部分がスルーされてたので、やはり私がメインで、AIはセカンドオピニオンとして利用するのがよさそうです。
②細かすぎる部分もある。
<良い点>の③に記載した通り、かなり細かく精度の高いチェックはしてくれますが、あまりに難易度が高いと当事者の理解がついていかなかったり、明らかに不要な修正案もつけてくれます。やはり、最終的には人の目が必要です。
③やはり最終的には人の目で。
OCR機能がついているからと安心ばかりはしていられません。やはり、たまに誤変換もあります。特にタイトルと本文の間、当事者の記名欄、ページ番号などがたまにごちゃっと取り込まれます。繰り返しますが、やはり最終的には人の目が必要です。
と、いろいろレビューを書いてみましたが、全体的には良いと思います。
あとは、それぞれのユーザーにおいてどれだけのニーズや効率化に貢献できるかというところだと思います。
世の中にはいまAI-OCR技術やRPA技術が進出してきており、最終的には、私ら人間が文書をスキャンすれば、AI-OCR技術でそれをWordやExcelに変換してくれて、RPA(パソコン内のロボット)がそのデータを各ソフトウェアやウェブの申請フォームに転記してくれて、私ら人間が最終チェックして、「決定」というボタンをぽちっと押せば事務作業が済むという未来が見えてくるそうです。
当事務所もそんな半自動化に憧れておりますが(笑)、何に優先順位としてどこから手を付けるかという試行錯誤をしています。
LegalForceのOCR機能の精度が上がれば、別途AI-OCRの導入は不要になるのかなぁとか。
ちなみにLegalForceの導入費用はそこそこしますが、キャンペーン価格も用意されています。これ以上は私からは言えないので、気になる方はLegalForceに問い合わせてみてください。
私は持病を抱えていて、お医者さんほどAIによる知識共有が最適な分野はないと思っています。Aというお医者さんが知ってることと、Bというお医者さんが知ってることに差があると、不平等感が生まれます。
同じく、法律は適用される人は等しくその制限や権利を受けるのですから、法務の分野もAIによる知識共有が最適だと思います。
当事務所はこじんまりとした弱小事務所ですが、出会うお客様が「瀬戸川事務所に出会ってよかった」と思っていただけるよう、努力と工夫を重ねていきます。
追伸:
一昨年の家賃給付金の際も、国の事務局が添付書類の契約書をAIチェックできるようであってほしかったなと思います。
契約書の内容を申請フォームにいちいち手打ちしなきゃならなかったし、事務局から変な補正指導がバラバラ出てきて「いや、そっちの方がおかしくない?」と事務局に問い合わせること、たくさんありました。