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2017年11月30日木曜日

【建設業】その元請会社は大丈夫なのか?

お客様からヘルプの電話がありました。

予定期日に売掛金が回収できないとのこと。

守秘義務があるので詳しくは言えませんが、月末に元請会社から入るべきお金が入らず、
相手の言い分は「2ヶ月先に大きな工事の集金があるので、その時に払う。」とのことです。

さて、この時に、「はい、そうですか。」で終わるわけにはいきません。

発注した会社は、発注した金額を資金調達する責任があり、当然にそれを了解した上で発注しているのですから、入金予定日間近になって「やっぱり延期して」というのは重大な約束違反です。

また、このような場合、元請会社の財務状況は非常に悪く、倒産の危険性も高いです。

立場もありますが、資金回収ができなくなれば、自社の生命も危うくなります。

そこで、有効策を整理してみます。
現金確保の有効性が高い順に並べてみます。

①分納を交渉する。
 少しでも早めに現金を確保するためです。
 もしものときの取りっぱぐれの被害をできるだけ少なくするためと、
 自社の資金繰り確保のために、現金は早めに確保するよう努めましょう。

②元請会社所有の車に、所有権留保登録をする。
 もしものときに、換金できる資産を押さえておくことは資金回収の担保になります。
 所有権留保登録は、運輸支局・陸運事務所で手続きできます。
 もちろん、相手方の承諾、印鑑証明書等々が必要となります。

③公正証書(契約書・覚書)を作成する。
 「いつまでにいくら」を改めて定めて契約書を作成しましょう。
 公正証書でなくてもいいのですが、
 公正証書の方が「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成することができ、
 もしものときは裁判によらずに相手方に強制執行することができます。
 もちろん、ここに相手会社社長の個人保証の一文をつけておきましょう。

④契約書・覚書を作成し、公証役場にて確定日付をもらっておく。
 相手方が公正証書の作成を渋る場合は、せめて覚書を作成して押印をもらっておき、
 公証役場にて確定日付印を押してもらいましょう。
 (確定日付印の費用は、わずか700円です。詳しくはこちら。)
 確定日付印は「その文書がその日に存在していたこと」を証明するもので、
 日付をごまかして作成したものではないことを証明するものになります。
 もしも相手方が支払わなかった場合は「支払督促」の手続きをすることになりますが、
 請求書のみならず、このような確定日付印つきの覚書や契約書があると動かぬ証拠となります。

そのほかもいろいろありますが、ざっとこんなところでしょうか。

しかし、こういう事態に備えて、資金の回収とは違いますが、
自社の資金繰り(支払い)が影響を受けないためには、
倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入しておくことをお勧めします。
ただし、加入時から6ヶ月間は免責期間となります。
(加入時から6ヶ月以内の倒産事故については、対応できないという意味です。)


ちなみに、そもそも元請会社や発注者の与信管理(信用調査)も大切です。
こちらの帝国データバンクのTDB企業サーチのサイトでは、ほとんどの会社の損益情報等を490円で入手することができます。
ただし、このデータは主にヒアリングを基に作成されているため、真実性は担保されていません。

もしも、元請会社や発注者が建設業者の場合で、建設業許可を保有している場合は、
その会社の主な営業所所在地のある都道府県庁にて、
建設業許可や過去5年分の決算変更届(財務諸表や工事経歴書)を閲覧することができます。
※決算変更届の作成や提出をサボって、財務諸表が見れない会社もありますが。。。
相手の財務諸表が確認できれば、確かな与信情報となります。

許可情報は、国土交通省の検索ページにて確認できます。

また、その会社が経営事項審査(経審)を受けている会社だと、ワイズなどのサイトで数年分の財務状況を確認することができます。
ワイズ 経審トレンド10
財務状況が確認でき、推移などを分析できれば、警戒したり、対策を講じることができますね。


月末や年末は、資金回収にハラハラする社長さんも多いと思います。
「絶対」はありませんが、資金確保の確率を上げる対策を講じることは大切です。